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平野町ペットクリニック −日々の出来事−
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非観血的に整復を試みたプレコの脱肛の1症例

「非観血的に整復を試みたプレコの脱肛の1症例」 その

 

 

*******************************************************

8/15(火)休診日
8/21(月)・22(火) 終日院長不在

となります。
ご迷惑をお掛け致します。

*******************************************************

 

 

日誌書くぞーっ!!!

 

 

、、、

 

 

さて、すぐ書くと言いつつ1ヶ月以上経ってしまいましたが、もはや気にしない気にしない。

 

 

書けば良いさ(笑)

 

 

でもその前に、

 

水槽のアヌビアスナナがつぼみをつけました!!!

真ん中のヤツです。

 

ネット検索すると、アヌビアスナナが花が咲くのはやや希なことのようですね。

 

咲くかなぁ、咲いて欲しいなぁ。

 

 

 

…でも調べてみると、水質が良く無い時に咲くだとかいう説もありますが、、、

 

いや!そんなことは無いでしょう、ありえない。その説は間違っていると思います。水質が良い時に咲くという記事もありますし。

 

水質検査しても完璧ですし、私の水槽の水質は良い(ハズ)ですし。水は透き通ってますし、水温も日照時間も完全に自動化して、苔もうっすら生える程度で、1匹のイシマキガイと1匹のプレコで丁度良く綺麗にしてくれる程度に調節してますし。

 

 

咲け!そして水質悪い説を全否定しろ!

 

 

 

 

、、、オホン。

 

 

では本題に移りましょう。

 

 

 

「非観血的に整復を試みたプレコの脱肛の1症例」

 

 

前回の日誌で初登場したホンコンプレコのドジョ子ちゃん。

 

うちに来てからとっても元気で、ときどき金魚にちょっかいを出したりしつつ、食欲も元気も旺盛で楽しく暮らしていました。(前回の動画)

 

うちに来て1ヶ月ほど経過したある日、朝見ると赤い橋の下にひっついていました。

それはいつものことで特に気にはしなかったのですが、午後に見ると同じ場所から一歩も動いていませんでした。いつもピンと立っている背びれも少し畳んでいるように見え、なんとなく違和感を感じました。

さらに良く見てみると、肛門のあたりに何か丸いものが見えました。

 

ドジョ子は体長3.5cm程しかないため、矢印の部分は1mm弱くらいしかありません。

 

違和感は感じつつも、獣医師ではありますが、水生生物は専門ではないためとりあえず経過観察を行いました。

翌朝確認すると、同じ場所から一歩も動いておらずそれまでのドジョ子の元気さからすると異変を生じているのは明らかでした。

学生時代の魚病学の教科書を開きますが、ホンコンプレコについての記述は一行もありません。ただ場所から推察すると肛門部であるため、脱肛を疑いました。ホンコンプレコの記載がある本は持っていないため、ネット検索をしましたがホンコンプレコの脱肛に関する記述は一件も見あたりません。ホンコンプレコの英語の学名と脱肛で検索しても何一つ引っかかりません。

 

もう少し病態を正確に確認するために、移動を試みます。

 

 

昨日よりも確実に脱出部分が増えています。これまで脱肛を確認してから1日半経過しています。そして明らかに元気は消失しています。

 

 

外来で遭遇する緊急症例の時の緊張感が走りはじめました。

 

 

この疾患の情報・文献が一つもわからない今、自分に出来ること、すべきことは何か。

 

 

そうだ、魚病の先生に聞いてみよう!

 

TEL

 

「うん、それは脱肛で間違い無いね。うん、それはもう交換だね!」

 

 

、、、

 

 

、、、

 

 

…えぇ〜。…先生軽いよ〜。。。

 

 

そうですか、、、

 

 

 

、、、じゃあ駄目もとで何かして見ようかな。。。

 

 

しかし水生生物の脱肛で検索しても、あまり有意義な結果はありません。金魚の脱肛の記事は少しひっかかりますが、参考に値する記事はありません。

金魚の脱肛の場合、といいますか、金魚の病気の場合はなんでもかんでも「とりあえず絶食と塩水浴」が基本のようです。金魚で考えると、絶食して消化管を休めることで、脱出し浮腫を起こした直腸粘膜の浮腫が改善し、治癒する可能性はある、、、かとは思いますが、しかしプレコに絶食はあまり聞きません。またプレコに塩水浴もどうかと思います。

一般の方(おそらく)の記事で、金魚の脱肛をちょん切ったら治った!という記事はありましたが、、、管腔臓器をぶった切って良いのか?と思います。おそらく粘膜面だけの脱出だったらば治る可能性はあるかもしれないが、、、基本的にはダメだろうと。

 

ドジョ子の肛門を観察すると、粘膜面だけでなく筋層・漿膜面も脱出している(ように)見えます。これはちょん切ったら絶対に駄目だろうと思います。

 

 

 

…よし、犬猫と同じ手技で整復してみよう。

 

 

 

犬猫の場合、脱肛は診察でも時々遭遇します。整復方法はまず用手整復(押し戻す)をし、整復が困難であれば肛門を一時的に巾着縫合(肛門を糸で縫い付けてふさいでしまうこと)をします。

 

、、、ドジョ子を助けるには俺がやるしかない!

 

…しかし、はたしてできるものだろうか。

まずホンコンプレコは水から上げた場合、どれくらい生きていられるものだろうか。

 

調べても記載が見つからない。

 

仕方が無い、「出来る限り急いでやる」しかないか。

 

これ以上調べている時間はドジョ子には無い(たぶん)。

 

 

可及的速やかに脱肛を用手整復すべく、準備をする。

 

まず整復時の患者の固定。ガラス板にセロテープで固定することに。

ガラス板は消毒は必要だろうか。アルコールやその他の消毒液はドジョ子の皮膚は溶けてしまわないだろうか。

整復する器具は、腹腔内腫瘍を剥離する際に使用する滅菌綿棒は使えるだろうか。

整復中にドジョ子が乾燥しないように、水分をかけてやる必要はあるだろうか。しかし通常の手術の際使用する補液(リンゲルや生理食塩水)はドジョ子には有害だろうか。未滅菌の今生活している水槽の水の方が良いだろうか。。。

 

 

…やろう。

 

 

自分なりに考えられる限りの準備をした後、ドジョ子を捕獲する。

本来元気なホンコンプレコは簡単につかまえることはできない。網でつかまえようとしても、ものすごく素早いため捕獲は困難を要する。透明カプセルなどを使用すると比較的簡単に捕獲できるのだが、、、

 

普通に捕まえることができてしまう。

これはかなり消耗している証拠である。

 

急いでガラス板にセロテープで固定を試みる。

 

ここでまず予想外のアクシデントが起こる。

 

水で濡れたガラス板にはセロテープはくっつかない。

 

 

馬鹿だ俺は。

 

 

しかし、悔やんでいる時間はドジョ子には無い。

 

頭をフル回転し、次の方法を考える。

 

 

タオルだ!タオルならばセロテープはつくはずだ!タオルに固定しよう。

 

急いで滅菌のタオルを取り出し、ドジョ子の固定を試みる。

 

 

よし、今度はうまくいった。

 

 

急いで整復だ。

 

時間が無い。

 

気持ちは心臓外科医の大動脈遮断である(笑)。

 

犬猫のそれを整復するのと同様に、滅菌綿棒を使用し周辺部より優しく、時に強く整復を試みる。

 

何度かチャレンジし、徐々に脱出した直腸が還納されていく。

 

 

しかし最後の粘膜部が完全には戻らない。

 

 

眼科用の極細い縫合糸を使用し、巾着縫合を試みるべきか、、、

 

考えろ、、、

 

いや!この場合は金魚の脱肛をちょん切った話しと同じか?

 

粘膜面だけならば切除しよう。切れ!

 

 

眼科用の剪刀を使用し、還納しない部分の直腸粘膜を切除する。

 

 

コンプリーション オブ サージェリー

 

急いでドジョ子を水槽に戻す。

 

大丈夫だろうか。

 

 

 

生きろ、ドジョ子。

 

 

 

 

 

翌日、

 

 

 

 

超元気筋肉

 

 

獣医学ってすばらしい!

 

というか、俺すごい(笑)!

 

 

 

どっかで発表しようかな(笑)

 

 

と、いうわけで、ドジョ子はもう元気です。

 

 

めでたし、めでたし。

 

(隠れ家のプレコ土管の前でご飯を食べる今日のドジョ子)

 

 

 

おしまい。

 

 

(ちなみに、検索でこの記事にたどりついた方へ。本症例はあくまで専門外の獣医師が他に方法が考えられなかったために、試験的に行った手技であり、一例報告にすぎないため本疾患に対しての整復方法を推奨するものでは決してありません。またチャレンジングオペの賛否に関しても、本症例は私個人の飼育する生物に行ったものであり、私自身は水生生物の専門では全くありませんので、悪しからずご了承下さい。)

(あと、もし専門の先生がこの記事を発見された場合おそらくつっこみどころ満載かと思いますが、当方小動物臨床獣医師のためあまり厳しいこと言わないで下さいね(笑)。そしてできましたらば、優しく教えて下さい。)

 

 

以下検索用

 

 

非観血的に整復を試みたホンコンプレコの脱肛の1症例

 

青木 紘 1)

 

1)長崎県 開業 (平野町ペットクリニック)

 

(keyword: Pseudogastromyzon cheni , anal prolapse )

 

 

ホンコンプレコ(学名:Pseudogastromyzon cheni)が突然の元気・食欲消失を呈した。身体検査により会陰部より脱肛を認める。

水外環境下において非観血的に脱肛の用手整復を実施したところ、良好な経過を認めたため、その概要について報告する。

 

症例

 

ホンコンプレコ、年齢不明(推定1才齢未満)、雌雄不明、体長35mm。飼育開始より約1ヶ月目に、突然の元気消失・食欲廃絶を呈する。発症の前日まで症例の一般状態は良好であった。

第1病日目、会陰部にΦ1mmの瘤状物を確認する(図A)。排便の消失、症例の状態、瘤状物の部位より、脱肛と仮診断し経過観察を実施した。第2病日目には症例は前日の場所より移動することもなく、食欲廃絶と排便の消失も継続していた。会陰部の瘤状隗はΦ3mmに前日よりも拡大傾向を呈し、脱出した粘膜の浮腫と筋層の脱出も疑われた(図B)。この時点において症例の一般状態は前日よりも更に悪化し、このまま経過観察を継続し自然治癒を期待することは困難であることが予想されたため、第2病日午後に水外環境下において用手による脱肛の整復術を実施した。

 

治療及び経過

 

症例を水外環境下で仰臥位に保体し、滅菌綿棒を用い直腸粘膜を傷付けないように慎重に周囲組織から徐々に力を加え、肛門内に脱出した直腸の還納を試みた。脱出した直腸は徐々に肛門内へ還納するが、一部粘膜の著しい浮腫が認められ完全に還納することは不可能であった。そこで浮腫を呈する直腸粘膜の一部を剪刀で切除し、手術の終了とした(図C)。終了後は直ちに元の飼育水へ戻し、水外環境下において整復にかかった時間は3分ほどであった。

術後翌日の第3病日目には肛門粘膜の軽度脱出は認められたものの、症例の元気・食欲は劇的に改善が認められた。また排便も正常に確認された。その後術後7日目には肛門の状態は正常化し、現在初診時より第112病日目を経過し再発は認められていない。

 

考察

 

ホンコンプレコの脱肛はこれまであまり報告が無く、それに伴い治療方法も未だ確立されていない。また近い飼育環境の金魚の脱肛の治療には絶食や塩水浴などの方法が行われているが、ホンコンプレコでの有効生は確認されていない。今回筆者は、ホンコンプレコの脱肛に対し非観血的に整復を試み良好な経過が得られたが、今後症例数を重ねて有効生を検討すべきである。

 

図A:第1病日目(矢印部が患部)

 

図B:第2病日目(矢印部が患部)

 

図C:手術終了時

 

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